活きた食事動作の支援とは

ADLの中でも食事動作の支援を考える上で欠かしてはいけない視点は、能動性を担保することの大事さです。
介護施設では栄養補給という意味での食事動作は確保されています。
つまり、自分で食べることができなくても、介助により安全に栄養を補給することが可能です。
食べさせてもらえれば栄養補給という点では満たされますが、食べるという行為に対する満足度という点では考え直す必要があります。
これは、自分が思い通りに食べることと、食べさせてもらい食べることとの食事に対しての満足度を自ら想像してみれば分かりやすいでしょう。
食べる順番や組み合わせ、口に運ぶタイミングというのは、長い人生の中で形成された、まさにその人らしさそのものです。
食事の満足度とは自分の思うように食べられる行為に本質があります。
しかし、介護施設における食事に対する関心は、栄養管理と誤嚥リスクの観点だけにおわってしまいがちであるという問題点があります。
そのため、自分が思うように食べられるという視点を持ち込み、食事動作支援をより活きた支援にすることが大事です。
その際には、食べ物をすくう動作や口へと運ぶ動作という具体的な動作に対するリハビリや、そのための筋力や関節の可動域などのリハビリが大事です。
さらに姿勢保持の観点や自助具や食器の工夫などの環境整備の観点からのアプローチも高齢者の場合には非常に重要となります。
これに関しては作業療法士の力の発揮どころといえます。